診療内容(肝臓・胆のう・膵臓外科)

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肝臓・胆のう・膵臓外科について

担当医

吉田和弘 教授
昭和59年卒業
imai.jpg 今井 寿 講師
平成10年卒業
松井 聡   助教
平成13年卒業

症例数

肝炎ウイルス症例への細やかな経過観察が、外科切除を要する原発性肝癌症例数は横ばいからやや減少傾向です。また最近の大腸癌に対する化学療法の進歩と並行し外科技術の追求にて切除対象を拡大してきたこれまでの経験を集積し、客観的指標として化学療法を先行させるべきとの判断に至り、現在一次的に転移性肝癌の切除例が減少しました。未だ化学療法などでの治療効果が期待し難い胆膵癌では外科切除を第一義とし、大学病院としての責務を全うする所存で対応してまいりました結果、切除適応症例が増加しております。

当科は日本肝癌研究会への登録施設であります。   

  • 原発性肝癌切除症例の5年生存率は56.3%であり、全国集計(53.4%)に比べ遜色はありません。
  • また転移性肝癌に対しては、大きさ個数による規制なく、積極的な外科治療を応用しております。

当科は日本膵臓学会の登録施設であります。

  • 膵臓癌切除後5年生存率は、膵頭部癌で11.2%、膵体部癌で16.8%であります。(肝臓癌・膵癌とも過去20年間の集積)

合併症が多く重篤化しやすい領域ですが、
安全で、かつ予後に貢献できる治療を心がけております!

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肝臓外科

日本肝胆膵外科学会に認定された、高度技能医修練施設です。 高度技能指導医を擁した積極的な肝切除術にて予後の向上に貢献できるよう、また岐阜県がん拠点施設である大学病院の責務を全うするよう、日々鋭意努力しております。

手術基本的な外科手技

手術ではグリソン鞘一括処理を応用しております。また肝切除前には全症例に正確な肝機能の評価基準から許容肝切除量を算出するとともに、CTなどの画像から腫瘍情報の総合的な検討から予定肝切除量をコンピュータ解析し、双方の結果を考慮して術後肝不全の併発を防ぎつつ、根治術を目指しております。最近数年には、肝不全・術死など重篤な合併症は経験しておりません。

 
切除に先立つグリソン鞘処理を基本         切除の実際:左葉切除

 
切除の実際:右葉切除             指標となる中肝静脈を全長に露出しての切除

積極・果敢な外科治療

外科切除の限界に挑戦し、根治性を追求した治療を目指します。

症例1:腫瘍栓が右心房に至る巨大肝細胞癌

 

症例2:心嚢浸潤した肝細胞癌の播種再発肝細胞癌に対する三度目の開腹術

 

症例3:多発転移性肝癌に対する術中凝固治療を併用した肝切除術

 

症例4:巨大転移性肝癌に対する効果的な化学療法後に術前門脈塞栓した上での肝切除術

 

腹腔鏡下肝切除術

腹腔鏡下肝切除術

腹腔鏡下肝切除術は2010年4月より保険診療として行われるようになりましたが、肝切除術と腹腔鏡手術という別々の専門技術が必要な手術であり、厚生労 働省による施設認定が必要になります。我々は2011年5月に認定施設として承認され、腹腔鏡下肝切除術の第一歩をスタートさせました。

 

この手術のメリットはなんといっても、通常の肝切除に比べ、非常に小さな傷で手術が可能であり、術後の痛みの軽減や早期回復にとって有用である点です。し かし、その低侵襲性により、手術の安全性や癌の根治性が損なわれることは、あってはならないことであり、術前に綿密な治療計画を立て、安全な腹腔鏡下肝切 除術ができるだけ多くの患者様に提供できるよう、一歩ずつ進化していきます。

局所麻酔下凍結療法

 
図1                図2

当科では切除不能肝癌に対し、局所麻酔下凍結治療を行っております。 液体窒素還流装置(図1)により、超音波をガイドに腫瘍を穿刺(図2)、-196℃まで冷凍して腫瘍を壊死させます(図3)。

 
図3                図4

この凍結装置は15分間で約3cmのice ballを形成します(図4)ので、この腫瘍径であれば確実に壊死させることができます。 当科では、繰り返し腫瘍の凍結壊死を誘発させると、抗腫瘍免疫が賦活され、免疫反応により非治療部位へも影響が波及することを経験しております。以下に具 体例を提示します。

凍結治療により抗腫瘍免疫が賦活したと推察される症例

症例1 胃癌:肝転移+腹膜播種+リンパ節転移

 
図5            図7

 
図6            図8

63歳、男性。胃癌に対する胃全滴術後2年目に右肩の痛みを訴えられ画像評価で多発再発を確認、当科へ紹介。
画像上の多発する肝腫瘍、腹膜播種とリンパ節腫大(図5,6)であったが、肝腫瘍への凍結治療を8回施行した所、リンパ節腫大、腹膜播種とも消失(図7,8)

症例2 巨大管内胆管癌

 
図6            図8

74歳、男性。腹部腫瘤を触知し近医受診。治療目的にて当科へ紹介されたが、腹部CTで脈管侵襲が強く切除不能(図9)。
特に肝門部への浸潤傾向強く閉塞性黄疸を併発し、来院時は自己歩行不能状態であったが胆管ステント留置にて減黄した上凍結治療を施行した。
ストレッチャーにて入院されたが、8回後には明らかな腫瘍壊死を確認し(図10)、治療後には歩行にて退院された。

現在、一旦臨床応用への試みは中断し、凍結治療に関連する基礎的研究から最適治療環境の推察を行っています。

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胆膵臓外科

膵癌・胆道癌は一般的に予後が不良とされております。 特に膵頭部に腫瘍が存在する場合には膵頭部とともに胆管、胃の一部、十二指腸を切除する必要(膵頭十二指腸切除術)があり、手術は非常に複雑であるのみならず、術後に合併症を併発すると大変重篤となります。
当科では合併症の予防のために、また予後の改善を目指し以下の努力をしております。

予後の改善

 広範囲リンパ節郭清を伴う切除および門脈合併切除(図1)を積極的に行ってきましたが、残念ながら予後に貢献しないことが判明し、現在は進行症例に対する術前の放射線+化学療法(図 2)にて予後向上に貢献する臨床検討のために、岐阜市内での研究組織ペルセウス(Perpetual Study estimated-by United Sections ; PerSeUS)を開設し、岐阜から発信するエビデンスを目指しております。ちなみにペルセウスは怪物を倒したギリシャ神話の英雄の名前ですが、今回は癌 に立ち向かう意気込みを込めて命名しました。

  図1

 
図2

合併症ゼロを目指して

 膵液と胆汁は合流することでより強力な消化酵素となる事実を背景に、切除後の再建方法に当科オリジナルのアイデアを導入し、国際学会・国際雑誌で の報告を通し、評価されております(Hepatogastroenterol 53: 296-3 2006&56: 619-, 2009)。

 

胆汁と膵液を別経路に再建 (左)  
従来の報告に比べて当科での合併症の発現・重篤化への進行が明らかに低いことが判明しております (右)

膵癌治療への新しい取り組み:基礎研究

Vitamin K3を使った新しい分子標的治療を研究しております。

 培養癌細胞では非常に強力な増殖抑制効果を示すVitamin K3ですが、そのメカニズムを解明し、副作用を軽減するために膵癌へ直接注入する方法を考案し、現在基礎研究上では大変有望な結果を得ております。ラット 組織内で作成した癌組織は、Vitamin K3により広範囲な壊死に陥ることを証明しました。

 

治療前                  治療後:腫瘍は広範な壊死に至る

最近では効果の指標となる細胞因子を特定し、今後はその安全性の追求を主眼として研究を継続しております(Anti-Cancer res, 28: 45-50, 2008、Cancer Chem. Pharm, 62: 315-320,2008あるいはAnt-Cancer Agents, 9: 877-881, 2009など)。