寄付講座(がん先端医療開発学講座)

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がん先端医療開発学講座

はじめに

岐阜大学大学院腫瘍制御学講座、吉田和弘教授により平成24年4月よりがん先端医療開発学講座が開設されることになりました。主に講座では消化器 外科(食道、胃、大腸、肝臓、胆嚢、膵臓)、さらには乳腺外科を中心として、岐阜県はもとより日本においても有数な症例数の治療実績および研究を行ってお ります。また日本より世界に新たな治療を開発するため多くの臨床試験にも参加し、全国トップレベルの登録数を誇っています。そのため当科における臨床治療 の成績(各種臓器別の手術成績、腹腔鏡手術成績および新たな手術手技の開拓、抗癌剤治療成績、栄養療法など)をまとめることで現在の標準治療の評価を行 い、世界的学会誌に評価されるよう試みることが大切と考えます。本講座においては、岐阜県から世界に発信できる臨床試験の取り組み、地域および関連病院を 含めた臨床試験の推進、更には市民公開講座など含めた癌予防医学の県民への普及に努力していきたいと考えております。

職員

1020371 松橋 延壽 (平成8年卒)

[資格]
日本外科学会 指導医
日本消化器外科学会 指導医
消化器がん外科治療認定医
日本内視鏡外科学会技術認定医
日本癌治療推進機構 がん治療認定医 暫定教育医
日本消化管学会 胃腸科専門医・指導医
日本食道学会 食道認定医
日本救急医学会 救急専門医
Infection Control Doctor (ICD) など
IMG_0998-thumb-autox173-1603.jpg 浅野 好美 (平成19年卒)

[資格]
日本外科学会専門医
日本乳癌学会認定医
マンモグラフィー検診精度管理中央委員会読影認定医

現在まで行ってきた推進治療実績・研究と今後の課題

1.岐阜大学病院において外来化学療法室の充実を図る

 吉田和弘教授が平成19年8月より就任されて以来、術後補助療法はもとより、進行・再発癌に対して積極的な抗癌剤治療を推進して参りましたが、治 療の進歩により、入院治療から多くの患者様が外来で治療が可能となっており外来化学療法を推進してきました。そのため外来化学療法室の併設を2008年よ り13ベッドで行ってきましたが、開設当初よりほぼ1.5倍近くに総患者数が増え、年間総数は3200人以上になりました。

out patients number 1
out patients number 2

さらに分子標的剤など新たな抗癌剤の出現もあり、それが原因による外来治療時間の延長などベッド利用ニーズが増えたこともあり、平成25年6月より新病棟開設に伴い外来化学療法室も新たに移転し、総ベッド数32に増床し行うことになりました。

新病棟開設による新しい化学療法室
shin-kitatou 2f
北新棟2階
staff station
広くなったスタッフステーション
chemo therapy room 2 chemo therapy room 3
全32ベッドが同時に使用できるようになりました。 各ベッドにはテレビが常設されています。
chemo therapy room 4 chemo therapy room 1
景観も良いです。 快適に化学療法が受けられるよう配慮します。

今まで以上に質の高い抗癌剤治療を行うため医師、薬剤師、看護師などスタッフ一同努力していく予定です。また今後抗癌剤治療の制吐剤による予防治 療(デキサメサゾンの至適投与量)さらにはオキサリプラチンによる末梢神経障害予防によるプレガバリンの有効性など前向きに検証する試験を薬剤部と連携し て推進中です。

2.臨床試験、治験の参加実績を踏まえて、新たな治療を地域医療に広め、さらには岐阜大学腫瘍制御学講座関連病院に推進する。

2008年以降、2013年4月末現在まで全国レベルの臨床試験に参加しており、総数は96試験になります。臨床試験の重要性に関しては以前より吉田和弘教授が積極的に取り組んできておられ、2012年9月にESMO(欧州学会:オーストリア、ウィーン)においてTS-1+Docetaxelの有効性について発表されました。

start trial
start trial presented at esmo 2012 1
start trial presented at esmo 2012 3

さらにASCO2013ではSAMIT trialでの結果を日本の施設代表で世界に発信されました。

samit trial

その他でROOF試験:肝転移を有する進行・再発大腸癌に対するmFOLFOX6を用いた術前化学療法の検討(多施設共同研究)、EAGLE試験: オキサリプラチン、ベバシズマブ既治療の進行再発大腸癌に対する2次治療FOLFIRI+ベバシズマブ療法におけるベバシズマブ至適投与量の第Ⅲ相ランダ ム化比較試験では全国1位の登録数となり、今後世界トップレベルの学会誌での論文投稿権利を得ており、新たな標準治療開発に大きく貢献しました。またJFMC35試験:術後補助化学療法におけるフッ化ピリミジン系薬剤の有用性に関する比較臨床試験(治癒切除直腸癌に対するUFT療法とTS-1療法との比較試験)では全国2位、JFMC37試験:Stage Ⅲ(Dukes'C)結腸癌治癒切除例に対する術後補助化学療法としてのカペシタビンの至適投与期間に関するランダム化第Ⅲ相比較臨床試験では全国3位と なりASCOなどで発表した実績があります。またその他現在進行中の臨床試験においても多くの試験で上位に入っており、今後岐阜大学腫瘍制御学から世界レ ベルでの標準治療の報告がされると思います。

jfmc37 presented at asco 2012
JFMC37試験はASCO2012にて髙橋先生が発表。

また岐阜大学腫瘍制御学から新たな臨床試験を作成し、関連病院との協力のもとで胃癌、膵臓癌、大腸癌、乳癌の臨床試験を行っています。各臓器別にPerSeUS GC,PC,RC,BCと名付けています。今後は全国展開できるものをあり、新たな標準治療の構築に努力しています。

perseus

当科における臨床試験および治験一覧

予防医学においては、2012年10月に消化器癌における市民公開講座をじゅうろくプラザで多くの市民の方に参加して頂き大変盛況でした。今後さらに癌予防医学において地域医療に広がるように新たな形での市民公開講座を開く予定です。

simin koukai kouza 1 simin koukai kouza 2

3.当科での手術成績および基礎研究から新たながん先端医療を開発する。

 現在岐阜大学腫瘍制御学では吉田和弘教授のもとで、Adjuvant Surgeryを推奨しています。Adjuvant Surgeryと は、化学療法は長期投与に伴う耐性獲得が不可避で、また有害事象により継続投与ができなくなる可能性も高いことから、早期から外科的な介入を行い現存する 腫瘍を消滅させる治療です。これまでに胃癌および大腸癌においては良好な成績を得ており、この治療を広めていくためにも国際学会での発表および世界トップ レベルの学会誌に投稿していく予定です。

当科における胃癌Adjuvant surgeryの成績

adjuvant surgery 1

adjuvant surgery 2

adjuvant surgery 3

当科における大腸癌Adjuvant surgeryの成績

adjuvant surgery 4

寄付講座開設からの実績

 岐阜大学腫瘍外科においては胃癌における腹腔鏡手術を推奨しています。しかし胃癌における腹腔鏡手術は難易度が難しく、まだ一般化されていないの が現状です。また腫瘍学的にも手術の短期成績においては論文など発表されていますが、長期成績においてしっかりとした評価をされた論文はなく、2013年 世界トップレベルの外科雑誌であるSurgical Endoscopyに当科における成績が掲載されました。これは単一施設のretospective studyですが、どの施設よりも合併症ならび長期成績においても良好な成績でした。

laparoscopic gastrectomy 1

laparoscopic gastrectomy 2

laparoscopic gastrectomy 3

laparoscopic gastrectomy 4

laparoscopic gastrectomy 5

最後に

食道癌、胃癌、大腸癌、肝臓癌、膵臓癌、乳癌など当科の治療成績をあらゆる観点から の客観的に評価を行った上で、新たな臨床試験を構築し世界レベルでの標準治療の発信に貢献できるよう努力して参りま す。

(文責 松橋延壽)

当科における論文業績一覧