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センター長あいさつ

【優れた医療人となるために何が必要なのか】

 皆さんは将来,どのような医師を志していますか.10年後,20年後,どのような医師になっているのでしょうか.その間,どのようなキャリアパスを積めば,皆さんが理想とする医師になれる,または近づけるのでしょうか.
 大学病院では,common diseaseが診れない,1次・2次救急が学べない,あまりやらせてもらえず経験が積めないといった声をよく耳にします.果たして,本当にそうなのでしょうか.例えば,糖尿病で通院している患者さんがいるとします.「調子はどうですか」「今日はなんとなく,身体がだるい.なんとなく,意欲がわかない」といった会話のやり取りをしたとします.皆さんは,ここで何を感じるでしょうか.糖尿病のせいだろうから様子を見ましょうか,とするのか,また何かの疾患が隠れている可能性があるから,ちょっと調べてみようと思うのか,実はここに,日常診療の難しさ,奥深さが隠れています.
 では,何を検査すればいいのでしょうか.採血を一通りやってから考えるのか,何が起きているのか分からないからとりあえずCTを撮るのか,血液ガスを調べてみるのか,それを決めるのは皆さん自身であり,上級医からの指示を待っていては手遅れになるかもしれません.こうした日常の診療においても,患者さんからのちょっとした一言や仕草に気づけるようにトレーニングすることが,初期研修の大きな目的の一つです.ですから,大学病院だからcommon diseaseが学べないのではなく,患者さんから学ぶ姿勢があれば,どんな病院で研修しても実は大きな差はないと思います.
 確かに,一般病院での研修は大事だと思います.救急対応から飛び込みで夜間受診する患者さん対応は,市中病院での研修のほうが優れているかもしれませんし,common diseaseを見る機会も多いかもしれません.ですが,ここでちょっと視点を変えてみましょう.患者の訴え・症状から最終診断に至る過程で,どのような鑑別疾患をどのくらい考え,それらを除外するにはどんな検査が必要なのかを,理論に基づいて構築していくには,どのような教育を受けるべきでしょうか.先ほど述べた,将来の自分の理想の医師になるためには必要なことではないでしょうか.
 医師になってからの2年は,将来の自分を決めるといっても過言ではありません.きちんと目的意識をもって,初期研修を行ってく必要があります.数ある病院の中で,大学病院ほど指導医・専門医をもった医師が,数多くいる病院はあるでしょうか.そんな中で経験を積めることは,たとえ患者を診る機会が少なくても,将来の自分に必ず役に立つはずです.研究会やカンファレンスを聞いているだけで,疾患毎の治療戦略の構築などを学べます.現在,新しい治療法の開発は目まぐるしく,ガイドラインだけではとても追いつけません.今後もそのような状況がしばらく続くであろうことは想像に難くありません.時代に乗り遅れるのか,それとも日常臨床で疑問に思ったことを解明していく医師になるのか,またガイドラインを変えるような新規の治療法を開発するような医師になろうと思うのか,そのようなリサーチマインドを育める環境は,大学病院以外ではできないとこだと思います.
 現在大学病院では,5つの研修コースがあり,比較的自由に選択可能なコースも用意しています.また,今後研修医の皆さんの意見を取り入れた,コース選択も取り入れるべく改革に着手し始めています.岐阜だけではなく,将来の日本の医療の発展を担っていけるような医療人を,岐阜大学は育成していきます.そのためにも,是非大学病院を含めた研修カリキュラムを選択していただきたいと願っております.将来,自分の理想とする医師を目指すために,是非我々と一緒に仕事をしましょう.


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