教室紹介
岐阜県内を中心に、地域に根ざした医療、次世代を担う人材育成、
臨床研究や基礎研究を通じて周術期医療の質向上を目指します。
ごあいさつ
教授就任のご挨拶
岐阜大学大学院医学系研究科麻酔・疼痛制御学分野の4代目教授として令和4年(2022年)7月1日に就任した紙谷義孝(かみやよしのり)と申します。これまで岐阜大学の麻酔科は、初代の山本道雄教授(慶応義塾大学出身)、二代目土肥修司教授(札幌医科大学出身)、3代目飯田宏樹教授(岐阜大学出身)により継承され、臨床・研究両面で顕著な業績を上げて来られましたが、岐阜県に縁もゆかりもなかった私がこの伝統ある岐阜大学麻酔科を継承させていただくこととなり、その重責に身が引き締まる思いです。私は平成6年(1994年)に横浜市立大学医学部を卒業後、大学院進学・海外留学を挟んで2012年末まで横浜市立大学で、2013年1月からは新潟大学大学院医歯学総合研究科麻酔科学分野で臨床業務・研究を行なってきました。新潟では2015年6月から約2年間、医師過疎地域として全国的にも有名だった魚沼地区に新設された3次医療機関である魚沼基幹病院の初代麻酔科長・手術部長として赴任し、麻酔科医が少ない中、日々の臨床を事故なくこなすことに精力を注いできました。その手腕をご評価いただき、岐阜大学の一員に加えていただいたたものと考えています。
私は、最初に師事した奥村福一郎横浜市立大学麻酔科元教授に「麻酔科医は臨床薬理学者である」と薫陶を受け育てられてきました。物事の結果には必ず原因があり、結果に至る理屈がありますが、日々の臨床においても同様です。プロ野球の名伯楽として知られた野村克也氏が残した言葉に「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」がありますが、なぜそうなるかを明らかにしなければ、うまくいったとしても次にうまくいく保証はありませんし、問題が起こった場合には同じ過ちを犯す可能性が出てきます。日々の臨床から生じる疑問を明らかにし、エビデンスを作ることが臨床研究を行う理由であり、エビデンスの理由を明らかにするのが基礎研究を行う理由だと私は思っています。少なくとも大学においては日々の臨床に追われるだけでは十分ではなく、リサーチマインドを大切にし、それを育んでいくようにしなければいけません。そのようなマインドを持った医師を育てていくことにより、麻酔科診療全体のレベルアップを図りたいと考えています。
岐阜大学麻酔科は関連病院や国内留学施設を含めると、ペインクリニック、小児を含む心臓麻酔、集中治療・救急にわたり、高いレベルの研修を受けることができます。学位の取得に関しても臨床研究を中心に積極的に推進し、リサーチマインドを持った麻酔科医の育成に力を注ぎます。岐阜大学麻酔科の特徴として、先輩方の多くが基幹的病院の院長としてマネージメントに関わっていることが挙げられますが、俯瞰的視点に立って病院全体の運営を担える人材の輩出を可能にしていると自負しています。麻酔科領域は女性医師の割合が高いのも特徴ですが、結婚・出産・育児に際して女性の方が負担を多く強いられる現状があります。実は私も共働き家庭で2人の幼児の父であり、できる限りの家事・育児に参画しているつもりです。また、2024年に迫った医師の働き方改革実施への具体的な対応も考えなければなりません。私たちは子育て中の医師が、男女を問わず家庭生活と仕事を両立させ、専門医としてのキャリアアップと燃え尽きない働き方が両立できる環境を各関連病院とも協力して構築していきます。
岐阜県は岐阜市域以外の医療過疎が顕在化しており、医療ニーズに応えていくことが大学医局に課された役目の一つですが、同時に国内外への発信を行なっていくことで岐阜大学麻酔科の付加価値を高めていきたいと考えています。専攻医・若手医師にとどまらず、新たな挑戦をしてみたいと考える医師に対して、我々の門戸は広く開かれています。ぜひ一緒に仕事をしましょう!
令和4年8月1日
岐阜大学大学院医学系研究科 麻酔・疼痛治療科
教授 紙谷義孝
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