人工硝子体、抗VEGF薬徐放基剤の開発

網膜硝子体手術において代用硝子体として用いるシリコンオイルや特殊なガスには、効果、安全面で多くの課題がありました。我々は大阪大学、メニコン社と協力し、新規ペプチドゲルを産学連携で開発し、人工硝子体への応用を目指しています。また同ゲルの薬剤徐放作用も証明し、抗VEGF薬の頻回硝子体注射に代わる画期的な方法として、徐放システム開発に取り組んでいます。

難治性疾患に対する新規治療方法の開発、新しい手術方法の開発

網膜硝子体手術はこの20年で、極小切開による超低侵襲手術に進化し、多くの疾患で、術後の視力が良好になり、早期回復早期社会復帰が可能となりました。しかしながら、視力が改善しない疾患がまだまだ多くあるのも事実です。我々はそれらの難治性疾患に対する新規治療方法の開発、新しい手術方法の開発を目指しています。

内眼炎における網羅的PCRの有用性

微生物による内眼炎では、時に治療に抵抗を示して重篤化し、重度の視力障害をきたすことがあり、早期の適切な診断ならびに治療の開始が大切です。一方で、原因微生物によっては通常の検査法では検出が困難なことが多々あります。そのため、神戸市立神戸アイセンター病院 ぶどう膜炎検査室における眼科網羅的感染症検査を利用して、当院に通院する内眼炎患者さんから採取した検体を用い、内眼炎の患者背景ならびに治療経過を把握し、適切な内眼炎の診断・治療方法の確立を目指しています。

眼疾患におけるDNA、RNA、タンパク質、細胞の網羅的解析

眼科疾患の患者の皆様から体液(血液、唾液、涙液、房水、硝子体)のいずれかを採取し、その中に含まれるDNA、RNA、タンパク質、細胞を分析し、病気との関係を明らかにすることによって病気の早期発見、予防、そして治療法の開発に役立てることを目的としています。

線維柱帯切除術後の長期経過

マイトマイシンC併用線維柱帯切除術は、現在日本で最も施行されている緑内障術式です。しかしながら、その長期的経過(10年以上)についてはほとんど知られていません。長期経過を調べることにより、人生100年時代を全うする視機能保持の仕様につき探っています。

眼圧変動の緑内障性視神経障害に与える影響

近年病院で通常測定する眼圧値のみではなく、日常の眼圧変動(睡眠時など)が緑内障進行に影響を及ぼすことが指摘されています。こうした日常の変動をできるだけ捉え、治療に役立てようとする試みを行っています。