JDDW 2016に参加してきました!!
2016年11月3日~6日に神戸で開催されたJDDW 2016に参加してきました。JDDW(日本消化器関連学会機構)は「日本消化器病学会」、「日本内視鏡学会」、「日本肝臓学会」、「日本消化器外科学会」から構成されており、「日本消化器がん検診学会」も参加する、日本最大の学会です。
日本全国からの消化器にかかわる多くの演題,講演から日本国内の医療の動向を知ることができます。各会場で検診、内科、外科など様々な切り口で議論が繰り広げられており、様々な視点からの意見を知ることができ、毎回貴重な経験が得られる学会です。海外からの招待講演も多くあり、世界における日本の位置づけや日本のシステムの素晴らしさや、問題点に気づかされることも多くあります。
胃については対策型検診に用いることができるようになった消化管内視鏡検査が話題の中心となっていました。対策型として行うにはやはりマンパワーの問題があり、ピロリ抗体価とペプシノゲンによる萎縮評価を組み合わせたABCリスク層別化が重要であるとの印象を受けたのですが、特に高齢者ではABCリスク層別化のみでは十分でなく、何らかの画像評価が必要であるという印象が強く残りました。
大腸については、日本で思うように達成されない大腸がん死亡率の低下を見据えて議論が展開されていました。米国、韓国では検診や大腸内視鏡によって大腸がん死亡率低下を着実に達成しつつあります。日本は内視鏡先進国ですが、死亡率低下が達成されない要因として、便潜血反応検査や大腸内視鏡検査という現在の医療リソースの見直しや分配、精度管理などが議論されていました。また、わが国で既に確立されている大腸CTですが、米国で大きな影響力を持つUSPSTF(United State Preventive Task Force)が様々な紆余曲折を経ながらも2016年のRecommendation(1)で5年後毎のCT colonography(大腸CT)を否定しなかったことをうけて、大腸CTも大腸がん死亡率に寄与しうるモダリティであるという認識が世界で広がりつつあります。ここ数年、日本国内での大腸CTに対する評価は様々でしたが、大腸がん診療において大腸CTが一定の地位を確立し、重要性に対する認識が分野を超えたコンセンサスとなりつつあることを実感しました。
JDDW2016参加で受けた多くの刺激を日常診療の糧にしていきたいと思います。
(1)Bibbins-Domingo, K., et al. (2016). "Screening for Colorectal Cancer: US Preventive Services Task Force Recommendation Statement." JAMA 315(23): 2564-2575.