周術期管理

手術を受けられる方へ

平成21年度の岐阜大学医学部付属病院の手術室における手術件数は4546件で、そのうち3063件は麻酔科管理手術です。岐阜大学医学部付属病院は、高度救命救急センターとがんセンター(都道府県がん診療連携拠点病院)という2つのセンターを併設するという旧国立大学病院の中でも数少ない特徴を備える病院です。緊急性が高い救急医療と、数多くの悪性腫瘍の患者さんが手術を受ける地域拠点病院としての役割を果たしています。手術時間が長く複雑な手術が多い、全身状態が厳しく麻酔が困難な患者さんの手術が多くを占めます。また緊急性の高い患者さんも、屋上ヘリポートを使えば飛騨地方から容易にヘリコプター搬送できるため、24時間体制で安全で質の高い麻酔管理が実施できる環境を構築しています。

このような特徴をもつ本院において、私たち麻酔科医は全身麻酔、硬膜外麻酔や背髄くも膜下麻酔という区域麻酔や局所麻酔を組合せ、手術を受ける患者さんの麻酔を担当しています。深夜・休日を問わず複雑な手術が長時間に及ぶことも多く、麻酔手技だけでなく精緻な麻酔管理も求められます。麻酔科医が得意とする周術期管理とは、手術前・手術中・手術後を通じた一貫する急性期医療の提供を意味します。具体的には、手術が難しいとされた患者さんをどうしたら安全に手術ができるかを検討し、その手術を実現するための麻酔管理を提供する、また手術・麻酔が行われた後も優れた術後鎮痛や呼吸・循環管理を通じて1 日も早い社会復帰を目標とします。麻酔の質は患者さんの生命に直結するため、ごまかしや小手先の対策は無効です。そのため私たち麻酔科医は、人手や手間がかかっても、持ち合わせる情熱と医療資源の投入を惜しみません。複雑な病態や手術であればこそ、質のよい麻酔の提供が手術を受ける患者さん本位の医療につながると考えています。

当院の平均在院日数は約13日弱と短く、入院患者が多いという特徴があります。内視鏡手術をはじめとする腹腔鏡手術や胸腔鏡手術などの低侵襲手術では、手術・麻酔時間が長くなるかわりに術後在院時間が軽減されます。当院で手術を希望されるたくさんの待機患者さんのために、1人でも多くの患者さんに早く手術機会を提供すべく努力しています。カンファレンスでの検討や抄読会等を通じ、最先端の医学知識や技術を活用することで、安全・低侵襲で効率的な周術期管理を目指します。

厚生労働省が平成21年に発表したDPC病院の機能評価係数における複雑性指数や効率性指数でも、当院は効率良く質の高い医療が実践されていることが示されました。手術と麻酔の質向上は、特定機能病院である急性期病院の医療の質を決めるため、最重要課題となっています。私たちは、これからも麻酔という専門性を通して手術という急性期医療に貢献します。