当院では2021年11月に「新型コロナウイルス感染症後遺症外来」を開設。
総合内科長の森田先生に、後遺症の症状について詳しくお聞きしました。
倦怠感や味覚・嗅覚障害、頭痛などに加え、記憶障害・思考力低下を訴える方も多いです。
後遺症を訴える患者さんの症状の中で最も多いのが「倦怠感」です。そのほか「味覚・嗅覚障害」「頭痛」などが続きます。また、最近増えてきているのが、「記憶障害」や「思考力低下」、いわゆる「ブレインフォグ」と呼ばれる症状です。集中力や思考力、決断力が低下し、「頭が冴えず、モヤがかかった状態」のことで、具体的には「考えることが辛い」「計画が立てられない」といった症状が現れます。
コロナ発症から60日までの受診が多いものの、半年ほど経って外来を訪れる方も一定数います。
後遺症を訴える患者さんのパターンには大きく2つあり、1つが、発症時に感じていた味覚・嗅覚障害、せきなどがずっと残っているケースです。そしてもう1つが、症状が一旦改善し、職場・学校に復帰したにも関わらず、再び症状が悪化して後遺症外来を受診されるケースです。特に倦怠感を訴える方は、後者が多い傾向にあります。コロナの発症から後遺症外来に受診されるまでの日数を調べたところ、発症後60日までが多い一方、半年程度経過してから受診される方もかなりの割合を占めています。また、後遺症を訴える患者さんは若い世代が多く、感染時に重症だった人よりも、むしろ軽症だった人の方が後遺症を訴える割合が高いことが見えてきました。まだはっきりとしたことは言えませんが、少なくとも軽症の方、ワクチンを接種した方でも決して油断できないということは言えると思います。
強い倦怠感により起き上がることができず、仕事や学業を休んでいる方もいます。
後遺症で一番の問題になるのが「倦怠感」や「ブレインフォグ」です。味覚・嗅覚障害などであれば、復職に支障が出るケースはそれほど多くありませんが、「倦怠感」「ブレインフォグ」は、仕事復帰を妨げる大きな要因になります。「倦怠感」は、何とか働けるくらいの軽症の方もいますが、「体を動かせず起き上がれない」など、休職・休学を余儀なくされる重い症状を訴える方もいます。後遺症外来では、症状に合わせた漢方薬を処方するほか、各分野の高度な医療を提供できる大学病院の強みを活かし、他の診療科と連携しながら後遺症がより早く改善するような治療を行っています。当院では、地域医療の最後の砦である大学病院の使命として、県民の皆さんのお役に立つことができればとの想いから外来を開設しました。もし気になる症状があれば、かかりつけ医の先生にご相談の上、当院を受診していただければと思います。
初診時に患者が訴えた症状を集計したもの。後遺症として認定された患者の症状のみを集計(45人分/1人複数症状あり) ※2022年8月8日時点のデータ