がんセンター

Vol.54

2024.03.24

特集

がんセンター

岐阜県のがん治療の中核を担う岐阜大学医学部附属病院がんセンター。
県下の医療機関やクリニックと連携し、誰でも等しく標準的ながん治療が受けられる医療体制を構築。
がん患者さんに寄り添いながら高度な医療を提供する一方、
「がんゲノム医療」などの最先端技術の研究にも精力的に取り組んでいます。



大学病院の使命として、これからのがん医療を創る 

 岐阜大学医学部附属病院がんセンターは、県内唯一の都道府県がん診療連携拠点病院として、岐阜県のがん医療の中心的な役割を担っています。日本人の国民病ともいうべきがんの治療には、手術療法、放射線療法、化学療法の3つの柱がありますが、最近ではこれらに加え、「がんゲノム医療」が注目を集めています。がん患者さんの遺伝子情報を調べて分析し、最適な治療につなげる次世代のがん治療のことで、当院でもこの分野に力を入れ、岐阜県におけるゲノム医療の拠点を目指してさまざまな取り組みを進めています。
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 当センターでは、県下の基幹病院のみならず、地域の開業医の先生方とも地域連携パスで連携し、医療技術の格差を是正する「均てん化」に大きく貢献しています。また、がん患者さんは別の疾患を抱えている ケースが多く、がん治療のみならず、あらゆる疾患への対応が必要です。がんの治療においては、がんに特化した専門病院も重要な役割を果たしていますが、がん以外を専門にする医師とチームを組んで治療を進める という点では、各分野の専門家が集結する大学病院に一日の長があります。「あらゆる疾患を診る力」を備えているからこそ、患者さんを総合的に治療できる点も当院の大きな特長です。
 そのほかにも当院では、手術支援ロボット「ダヴィンチ」を2台導入しているのに加え、強度変調放射線治療(IMRT)も標準装備しています。また、全国に先駆けて小児・AYA世代のがん患者の生殖医療(妊孕性温存など)にも取り組み、全国的に高い評価を受けています。さらに、専任の看護師やソーシャルワーカーを配置するがん相談支援センターでは、がんの医療に関わる質問や相談だけでなく、がんと診断された患者さんの就労支援にも力を入れています。

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 このようにさまざまな取り組みを行う当センターですが、やるべきことはまだたくさんあります。その一つが、がんゲノム医療の強化です。今後はがんゲノムの専門家による独立した組織等を発足させるなど、さらなる機能強化を図っていきたいと考えています。現在ゲノム検査をもとに最適な薬に到達できる割合は10%程度。現状ではがん遺伝子の特定部分だけを調べる検査をしていますが、今後はDNA全体、RNA全体へと領域 が広がり、これまでの検査では見つからなかった異常を発見することで治療の選択肢も増えていくはずです。進化を続けるゲノム医療に対応できるように各部署の連携を強め、これまでも多くの部署が臨床研究に参加し、世界的なエビデンスを作るために貢献し続ける当院、当センターは「これからの医療を創る」という大学病院の重要な使命を果たしていきます。

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▲がんセンターのメンバー。他の診療科と連携しながら、先進的ながん治療開発とがん患者さんのサポートに力を注ぐ。

2023年のがん治療

がんゲノム医療とは?

 →がんの原因となる遺伝子異常を調べ、検査結果をもとに治療方針を決定するもの

     「がんゲノム医療」は遺伝子情報に基づく個別化医療の1つで、当院も注力しています。そもそも、がんは遺伝子の異常によって起こる病気のため、個別の遺伝子異常が分かれば、より効果の高い治療法を選択できます。
     2019年に多数の遺伝子を同時に調べる「がん遺伝子パネル検査」が保険承認され、当院でも昨年度に137件の患者さんが検査を受けました。まだまだ認知度は低いですが、科学的根拠に基づいた治療を多くの患者さんが受けられるよう、今後も努めてまいります。
 

県内のがんゲノム医療の拠点として

    当院は、国立がん研究センター東病院が開催する「エキスパートパネル」にゲノム医療連携病院として、参加しています。ここでは、がん遺伝子パネル検査の結果について専門家が集まって協議し、治療方針を決定します。また、エキスパートパネルの前に独自のがんゲノム検討会「岐大パネル」を実施。その結果をエキスパートパネルに役立てるとともに、県内の医療機関とも密に連携し、県内のゲノム医療のレベルアップを図っています。
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    データで見るがんの「今」

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    当院の2021年のがん部位別登録件数における上位3部位は、大腸がん、肺がん、胃がんの順でした。厚生労働省「人口動態統計(確定数)」(2021年)によると、種類別の死亡者数は、男女とも「気管、気管支及び肺」が最多となっています。


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    30~40代までは女性のがん患者が多く、50代からは男性のがん患者が急激に増えます。国立研究開発法人国立がん研究センター「全国がん罹患データ(2019年)」によると、日本人が一生のうちにがんと診断される確率は、男性は65.2%、女性は51.2%です。

    がん予防の基礎知識

    がんの要因

    1981年以来、40年以上日本人の死因のトップはがん。2021年のがん死亡数は、381,505人(男性222,467人、女性159,038人)で、全体の3割程度を占めます。がんについては、はっきりと解明されていないことも多いですが、主な原因は生活習慣や細菌・ウイルスなどによる感染と考えられています。
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    今日から始められる予防

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    〔相談窓口のご案内〕

    がんについての相談を「がん相談支援センター」にてお受けしております。
    がんやがん治療についてなど不安に感じることがございましたら、まずはお問い合わせください。


    お話を聞いた人・・・
    岐阜大学医学部附属病院 がんセンター
      センター長
    1. 小川 武則 先生

    2. 副センター長
    3. 二村 学 先生

    4. 副センター長
    5. 牧山 明資 先生