心不全療養指導チーム

Vol.55

2024.03.29

クローズアップ!

心不全療養指導チーム
岐阜大学医学部附属病院で働くさまざまなスタッフの仕事内容を紹介します。


多職種の連携で、心不全患者さんの再入院予防に努めます

 当院の「心不全療養指導チーム」は、心不全の患者さんに対して、治療だけにとどまらず生活指導まで包括的にサポートすることを目的として、昨年5月に発足しました。この背景には、高齢者の心不全が急増傾向にあること、さらには再入院率も高いという昨今の現状があります。
 そもそも心不全とは心臓のポンプ機能に不具合が起きている状態のことを言いますが、その原因は千差万別です。心不全療養指導チームは医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士、ソーシャルワーカーで構成されており、職種を超えた連携によって患者さんごとに異なる要因を見極め、適切な指導につなげています。加えてチーム内で情報共有し、担当医ごとの治療差をなくすことで、質の高い標準的医療を提供する狙いもあります。

心不全療養指導チームの構成メンバー
  1. 医師(心不全管理、医療介護連携、在宅療養支援など)
  2. 管理栄養士(栄養評価、栄養指導など)
  3. 看護師(症状観察・診療補助、ヒアリングなど)
  4. ソーシャルワーカー(介護支援、ケアプランの作成など)
  5. 理学療法士(生活機能の維持・改善を目的としたリハビリなど)

    1. 心不全患者さんの症状の経過および生活環境に関してのヒアリング内容をチーム内で共有するとともに、各領域における治療の標準化を図っている。また、院内勉強会を定期的に開催し、心不全患者さんが自宅退院する際に必要な社会資源の費用負担や導入のコツに関してディスカッションするなど、心不全の包括的な治療に対する知見を院内で広めている。
     

 患者さんと日々接して感じるのは、心不全の原因を特定し、適切な治療を行うためには、ヒアリングが重要であること。基礎疾患だけでなく、ストレスや生活習慣なども心不全につながるため、患者さんの生活を正確に把握した上で対策を立てないことには根本的な解決になりません。ですので、治療と生活指導の両輪が非常に重要です。
 また、退院後に自宅で心疾患管理を行う際に、患者さんご自身やご家族の負担を軽減するための介護保険サービスの案内にも力を入れています。これは、訪問介護などの諸手続きについて、自分自身や家族が当事者となって初めて知る方がほとんどだからです。これからも患者さんの不安を和らげ、退院後の生活を考慮した医療をチーム一丸となって提供していきたいと思います。

対応例
  1. メリハリ減塩
  2. 全ての料理の塩分量を控えるのではなく、メイン料理はしっかり味付けすることで、薄味になって食欲が低下することを避ける。

  3. 外来リハビリの案内
  4. リハビリで身体機能、生活機能を改善することで心臓の負担を軽減。福祉用具の選定などもサポート。



そもそも、心不全とは?...

心臓のポンプ機能が低下し、全身の臓器が必要とする血液を送り出せない状態

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お話を聞いた人・・・
岐阜大学医学部附属病院 循環器内科
  1. 石黒 まや 先生