Q&A拡大版 DMAT

Vol.56

2024.06.27

Q&Aコラム ○○って何?

Q&A拡大版 DMAT

【A. 】
DMAT(ディーマット)とは、
災害医療支援の専門チームです。
今年1月、能登で災害支援を行いました。



     今回のQ&Aコラムは拡大版。今年元日に発生した「令和6年能登半島地震」で、岐阜大学医学部附属病院の災害派遣医療チーム(DMAT)が、医療支援を行いました。DMATとはどんなチームなのか、今回の派遣活動を振り返って、吉田先生にお話をお聞きします。
 
DMAT... Disaster Medical Assistance Team


 DMATとは医師・看護師・事務官や薬剤師、放射線技師、臨床工学技士などの業務調整員で構成された災害医療支援の専門チームです。当初は災害現場での活動が主軸でしたが、現在では現場活動のほか、病院支援、救護所・避難所の設営、広域傷病者移送や調整、行政支援など、その任務は多岐にわたります。大規模災害だけでなく、局所災害や新興感染症の医療支援を行うチームとしても位置付けられています。

 そもそも日本DMATは、 阪神・淡路大震災をきっかけに2005年に発足しました。 私たちのチームはその発足当時から存在する歴史あるチームで、阪神・淡路大震災で支援を経験した者も在籍していました。その後、東日本大震災や熊本地震でも支援を行ってきました。災害基幹施設である当院には、常設のドクターカーもあり、局所災害支援の手助けになることはもちろん、ドクターヘリを所管しているため空路での支援も可能です。

 今回の能登半島地震では、1月2日に出発した第一次隊と二次隊は輪島地域の被災地現状把握と市立輪島病院の病院支援を、 三~五次隊は金沢や輪島での避難所支援や本部支援、病院支援を行いました。 初動は病院機能を維持することから、各地から集まったDMATチームと共にさまざまな支援を行いました。当院には「統括DMAT」 登録者も多数おり、今回は我々がリーダーとなってチーム全体を統率する場面もあり、大変貴重な経験となりました。DMATによる支援は行政は元より、消防の広域緊急援助隊や自衛官の方々の協力によって初めて成り立つものであり、多職種連携の重要性を実感する活動でもありました。



    病院のロビーに、DMATチームによる災害支援本部をつくります。支援者として出向いてるとはいえ、被災地の水問題などにも難渋しながら、極限状態での活動です。
 

    現場で指揮を執る吉田先生。複数の病院から集まったDMATチームを統率するリーダー的存在を、岐阜大学医学部附属病院のDMATチームが担いました。
 

    市立輪島病院の院長・品川誠先生(写真中央)との再会。当院DMATチーム第一次隊が手書きした組織図を、「これは捨てたくない」と大事に貼ってくれていました。
 

 災害はいつ起こるかわかりません。最低限の避難準備や家族での定期的な話し合いはもちろんのこと、 自宅や職場などで飲水や水使用に制限をかけた生活を、半日程度でもいいのでぜひ体験してみてほしいです。 ビニール袋を便座につけて使用する被災地用の簡易型のトイレは、経験したことがたった一度あるだけで心持ちが変わってきますよ。




隊員の皆さん、お疲れ様でした。



当院は岐阜県の基幹災害拠点病院として、
今後も機能強化を進めてまいります。

改めまして、被災地の一日も早い復旧、復興を
心よりお祈り申し上げます。




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教えてくれた人・・・
高次救命治療センター 准教授
  1. 吉田 隆浩 先生


関連リンク
令和6年能登半島地震にかかる当院の医療支援について