呼吸器外科

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診療実績

科長

岩田　尚

呼吸器外科では、呼吸をつかさどる肺の様々な疾患および肺と心臓に囲まれる部位（縦隔）の疾患に対して外科的な治療を行う部門です。主には、肺癌の外科治療を担当しています。当院放射線科、呼吸器内科との綿密な連携を通して、患者さんにとって最適な治療方針を決定しています。心臓血管外科、消化器外科とも専門的な意見を交換し、消化器癌や心臓疾患を持つ肺癌患者に対して、同時手術等積極的な治療を行っています。

主な疾患・診療内容

原発性肺癌

原発性肺癌は、肺組織から発生した悪性新生物です。悪性新生物による死亡原因の第一位です。呼吸器外科手術の半数を占めますが、発見された原発性肺癌の総数の 30% ほどしか手術とならないのが現状です。今後診断学の進歩と共に手術療法は増加していくものと考えられます。一方で縦隔リンパ節転移を認める進行した肺癌も、呼吸器内科と協力し化学療法また化学放射線療法を施行し、その後に手術を施行することもあります。早期の肺癌に対しては、従来の肺癌の手術に施行していた 20cm あまりの皮膚切開創を、胸腔鏡を使用することにより2cmほどの皮膚切開創3ヶ所で行っております。また、根治性を損なわずに呼吸機能を温存するために、肺切除量を減少させる区域切除術も積極的に施行しています。

原発性肺癌

転移性肺癌

転移性肺癌とは、肺以外の臓器にできた悪性腫瘍が肺へ転移したものです。悪性腫瘍の発生した臓器の治療が制御されている場合に、積極的に転移巣の切除を当科では施行しております。主には、大腸癌、乳癌、子宮癌、骨肉腫などの肺転移に対して、手術を行っており、CT 画像を詳細に検討し、肺機能を極力温存する術式を選択しています。

転移性肺癌

気胸

気胸とは、吸い込まれた空気が肺から胸腔内へもれてしまう病気です。この結果漏れ出た空気により肺がつぶれてしまい、呼吸困難を来たします。場合によっては、肺のみならず心臓も圧迫し命にかかわる症例もあります。若年者では、先天的に肺の表面にブラと呼ばれる風船があり、それに孔があくことで発症します。高齢者でも特に喫煙者では肺が気腫といわれる風船状となっており、それに孔があくことにより空気漏れを来たします。胸の中にドレーンと呼ばれる管を入れて空気を排出して治療すると共に、空気漏れが続く場合には、その孔を塞ぐ手術をします。これも胸腔鏡下手術により３箇所胸に穴を開けるだけで施行可能です。

気胸

縦隔腫瘍

縦隔腫瘍とは、肺と心臓に囲まれた部位にできる腫瘍です。胸腺と呼ばれる臓器に発生する胸腺腫、胸腺のう胞、奇形腫に対する外科治療が主であります。悪性リンパ腫や精巣上皮腫のような悪性腫瘍の確定診断も行う場合があります。一方、重症筋無力症に対して、拡大胸腺摘出術を胸骨正中切開をしない胸腔鏡下手術を施行し、患者さんに好評を得ています。