循環器センター
循環器センターとは
循環器センターは岐阜県における循環器疾患にかかわる診療、教育、研究の向上を図ることを目的として開設されました。循環器疾患の内容は多岐にわたり病像も慢性から急性期・重篤なものまで幅広く、治療法は高度な先進医療からより低侵襲な治療まで多種多様に発達してきたことから 従来の内科・外科の枠組みを超えた「ハートチーム」での治療が必要となってきました。
当センターでは患者さんを中心として循環器内科、心臓血管外科、放射線科、リハビリテーション部、看護部、検査部、薬剤部が診療科の垣根を越えた「ハートチーム」を作り最適な医療を実践しています。一般的な狭心症、心筋梗塞、弁膜症、不整脈、心不全の治療はもちろん、がんなどの他の疾患を合併している心臓病患者さんにも、「ハートチーム」により、それぞれの患者さんに合わせた最適な治療を御提供します。高度医療技術と総合力がある大学病院ならではの特色です。
また岐阜県は地域的に高度循環器医療施設の偏在という問題を抱えています。当センターは循環器救急疾患に対しては高次救命センターやドクターヘリの運用に協力し地域医療格差が生じないように役割を担っています。
当センターの特色
- 24時間365日体制
- 循環器専門医および心臓血管外科指導医が 24時間365日の体制で、救急対応、緊急カテーテル治療、緊急心臓血管外科手術を行っています。
- 高度医療技術
- 循環器内科
- 循環器内科には、多数の日本循環器学会専門医はもちろん、心臓カテーテル治療のスペシャリストである日本心血管インターベンション治療学会専門医も複数在籍しています。急性心筋梗塞に対する緊急心臓カテーテル治療からその後の集中治療まで24時間365日で対応できる体制を整えています。
- 心臓血管外科
- 心臓血管外科では、数千例の手術経験をもつ執刀医たちを中心に多種多様な心臓血管外科手術を行っております。特に胸骨を切開せずに3D内視鏡を用いて小皮膚切開で行う「低侵襲心臓手術(Minimally invasive cardiac surgery: MICS)」を岐阜県唯一(2024年現在)の学会認定医が数多く行っており、その対象は弁膜症、冠動脈、不整脈、心臓腫瘍と多岐に及んでおります。低侵襲心臓手術は若年者だけでなく高齢者の整容面・早期社会復帰に大変有用であり、これまでも多くの患者さんに喜んでいただいています。また、透析や出血しやすいなどが原因で抗凝固療法ができない心房細動の患者さんのために、3D内視鏡を用いて数cmの皮膚切開で心臓を止めずに行う、最新の不整脈手術(ウルフ・オーツカ手術)も行っています。大動脈瘤治療においては、人工血管置換術とカテーテル治療(ステントグラフト)を各専門医・指導医が十分に協議して患者さんにとって最良の治療選択と良好な結果を積み上げています。
- より先進的な狭心症診断
- 虚血性心疾患に対する非侵襲的診断法であるFFR-CT が実施可能です。これは冠動脈の狭窄が実際にどれほど心筋虚血をきたしているか、治療対象であるかどうかを、心臓カテーテル検査による侵襲的検査の代わりに冠動脈造影CTの画像解析により知ることができる検査です。
- 従来、微小血管狭心症やシンドロームXとして知られていた、冠動脈に狭窄を認めないにもかかわらず胸痛症状を認める虚血性心疾患 (Ischemia with non-obstructive coronary artery disease: INOCA) の診断が心臓カテーテル検査により可能です。
- 複雑な冠動脈病変への対応
- 冠動脈石灰化などの複雑な冠動脈病変に対して、循環器内科による様々なカテーテル治療や、心臓血管外科による様々な冠動脈バイパス手術(オフポンプ、人工心肺、小切開低侵襲バイパスなど)が選択可能です。
- 経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)
- 大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)が実施可能です。TAVIの適応が困難な場合は、心臓外科により内視鏡を用いた低侵襲大動脈弁置換術も行うことが選択可能です。
- 希少疾患や難病への対応
- 全国に56 施設しかない心エコー図専門医研修施設の一つであり、専門医も複数在籍しているため(2024年4月現在)、虚血性心疾患のみでなく様々な心疾患に対する豊富な経験を有しています。さらには県内随一の心筋症診療実績があり、特に心サルコイドーシス、心アミロイドーシスやファブリー病といった難病とされる二次性心筋症の診療も行うことができます。肺動脈性肺高血圧症の診断も積極的に行っています。
- 心不全療養指導チーム
- 医師のみでなく、看護師、理学療法士、薬剤師、ソーシャルワーカーなど、多職種から構成される心不全療養指導チームが、心不全患者さんのサポートを行います。
診療実績
症例数(入院)実績
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疾患名 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
---|---|---|---|
心筋梗塞 | 56 | 72 | 52 |
狭心症、慢性虚血性心疾患 | 322 | 295 | 274 |
頻脈性不整脈 | 193 | 203 | 212 |
心不全 | 81 | 100 | 119 |
閉塞性動脈疾患 | 32 | 48 | 34 |
循環器内科治療(手術・検査等)実績
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手術・検査等名 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
---|---|---|---|
経皮的冠動脈インターベンション(PCI) | 213 | 208 | 193 |
経皮的カテーテル心筋焼灼術(アブレーション) | 171 | 172 | 191 |
ペースメーカ植込 | 22 | 44 | 32 |
ペースメーカ交換 | 10 | 20 | 18 |
植込み型除細動器(ICD)植込 | 5 | 2 | 7 |
植込み型除細動器(ICD)交換 | 6 | 7 | 1 |
心大血管リハビリテーション新規患者数 | 345 | 366 | 219 |
化学療法件数(抗悪性腫瘍剤) | 1 | 0 | 0 |
心臓胸部大血管手術
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手術・検査等名 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
---|---|---|---|---|
冠動脈バイパス術(単独) | オフポンプ冠動脈バイパス(内MICS) | 27(2) | 35(6) | 25(4) |
人工心肺使用冠動脈バイパス | 11 | 7 | 9 | |
心筋梗塞合併症手術 | 心室中隔穿孔修復術 | 2 | 1 | 1 |
左室破裂手術、左室形成室 | 0 | 2 | 3 | |
弁置換術(複合手術含) | 大動脈弁置換(内MICS) | 24(4) | 28(2) | 40(2) |
大動脈基部置換(ベントール手術) | 9 | 10 | 7 | |
自己弁温存基部置換 | 0 | 1 | 2 | |
僧帽弁形成(内MICS) | 16(5) | 15(12) | 18(7) | |
僧帽弁置換(内MICS) | 8 | 7 | 7(1) | |
大動脈弁・僧帽弁手術 | 4 | 10 | 14 | |
心臓腫瘍(内MICS) | 1 | 1 | 2(1) | |
MICS心房細動手術(ウルフ・オーツカ手術) | - | - | 1 | |
そのほかの心臓手術 | 5 | 2 | 6 | |
胸部大動脈人工血管置換術 | 23 | 28 | 31 | |
胸腹部大動脈人工血管置換術 | 5 | 1 | 4 | |
胸部大動脈ステンドグラフト内挿術 | 11 | 6 | 8 | |
総数 | 146 | 154 | 178 |
末梢血管手術
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手術・検査等名 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
---|---|---|---|---|
腹部大動脈癌手術(開腹) | 21 | 23 | 23 | |
腹部大動脈ステントグラフト内挿術 | 37 | 49 | 40 | |
そのほかの末梢動脈手術 | 29 | 21 | 13 | |
TAVI(カテーテル大動脈弁) | - | 8 | 23 | |
総数 | 87 | 93 | 63 |