【医療支援課】患者サービスをつなぐ扇の要
病院長×医療支援課
岐阜大学医学部附属病院 小倉 真治 病院長
医療支援課 医療連携係 服部 真由美 医療支援係 安藤 素子
患者サービスを提供する最前線に立つ
小倉 医療支援課は、患者さんにとっても病院にとっても重要な部署になりますね。
服部 医療支援課全体の業務内容としては、院内外の医療従事者の事務的な支援を行っています。80名ほどいる大所帯で、病院の補助するためのクラークや、入院される方に適切なご案内するアシスタントコンシェルジュという職種の方々も所属していて、女性が半数以上を占めている課になります。
安藤 課内には、医療連携係、医療支援係、診療サービス係、医療安全係という4つの係があります。
服部 医師の先生方が時間的に制限のある場合、対外的な連絡調整など、医療訴訟、医療安全も含めて、調整役を務めています。その中で、医療連携係は、患者さんからも病院から見ても窓口のようなところで、例えば、病診連携の窓口として、連携している病院を通して来院、入院される患者さんへの対応をしています。また、専門職としてソーシャルワーカーがいます。
安藤 メディカルスタッフが関わる前の段階として、事務職員が連携して予約を取るなどして、先生方の診療に結びつくような仕事をしています。
小倉 医療支援係は。
安藤 医療支援課内の勤務管理などほかの係に属さないあらゆる業務に対応しています。また、岐阜大学病院は、がん拠点病院になっていて、病院内にあるがんセンターの仕事として、がん相談や緩和ケアなどにも対応しています。
小倉 診療サービス係は。
安藤 患者さんの案内や苦情処理、ボランティア、クラークなどをまとめる係です。具体的には、入院センターの事務、病院の環境保全、構内の美化、警備、保安職員、落とし物の管理など、さまざまな患者さんのサービスの根幹を担っています。
服部 50人ほど在籍している部署で、苦情への対応もしているので、大変重要な係ととらえています。
小倉 岐阜大学病院の1丁目1番地に掲げている「最高のサービスを患者さんに提供する」というまさに最前線だね。
安藤 はい、患者さんのサービスに一番直結する部署だと思っています。
さまざまな切り口からイベントを企画
小倉 日ごろから意識していることは。
服部 患者さんと関わる機会が多いですので、病院がどのように見られているかを意識しながら、言葉遣いなど接遇に注意しながら、患者さんに応対しています。
小倉 関わる人や情報量が多岐にわたるから、苦労も多そうだね。
服部 楽しいよね。企画を立案して、患者さんが先生や看護師さんたちと一緒にイベントに参加して、笑顔で取り組んでいる様子を見るとうれしいです。
安藤 公開講座や相談週間などを開いています。患者さんに良い情報を紹介するのはもちろんですが、メディカルスタッフの思いをつなげられるような企画を考えています。
小倉 この1年間では、どのようなイベントやセミナーがありましたか。
安藤 がんセンターの公開講座は年6回行っています。お盆には、「なんでも相談週間」を開いて、相談のない人も相談したいという時に来ていただけるようなお知らせをしました。いろんな方に来ていただけました。
服部 院外では、肝疾患診療支援センターが岐阜市健康まつりに出展し、「B型肝炎、C型肝炎コーナー」の啓発ブースを設けました。掲示物を展示したり、踏み台昇降を用意したりしましたが、行列ができるほど盛況でした。来場される方は健康への意識が高いので、実際に踏み台昇降をして、その上で掲示板を見てくださったので、効果は高かったと感じています。また、いろいろな病院から肝疾患医療コーディネーターの方もお手伝いに来られて、一緒に「肝炎検査を一生に一度はやりましょう」と呼びかけました。他病院のコーディネーターや看護師さんと連携できて交流が広がったことも大きな収穫でした。
安藤 がん相談についても、先生方のご協力もいただきながら、いろいろな仕掛けを考えているところです。
小倉 違った切り口からイベントを企画して工夫していますね。大学病院は院外から待っているという姿勢が多かったのですが、地域には開業医の先生や連携しているアライアンスパートナーをはじめ、いろいろな取り組みをしている会などもあるので、大学病院も自ら積極的に出ていってほしいですね。どのように業務を広げていくのか期待しています。
患者さんの困っていることに寄り添う
小倉 この4年間で、クラークの人数を増やしたり、入院センターを作ってコンシェルジュを新設したり、政策的なことを進めてきました。その根源は、最高のサービスを患者さんに提供すること。そうすると、医療支援課が一番日の目を浴びるべきであると考えているんだけどね。
服部 種まきをしてくださったおかげで。
小倉 僕は桜の苗木を植える人。10年後、20年後に花が咲けばいいなあと思っています。課内でも意見交流は活発になってきたのはうれしいね。
安藤 事務職員もパートの方を含めて、自分たちでやろうという自発的な意識が出てきて、すごくうれしいです。
小倉 これからもっと患者サービスが良くなるために、考えていることはありますか。
安藤 今は係ごとでの対応になってしまいますが、患者さん目線でいえば、相談センターに入ってきた時に、優しいお姉さんが優しく声を掛けて、安心できるようなファーストタッチがあって、サロン的な雰囲気になるといいと思います。
小倉 それは多分正しい。患者さんは何係を探しているわけではなく、「相談したい」と思ってきているわけだからね。
安藤 患者さんは困ってきているので、何かサポートする最初の一言が大事だと感じています。
服部 課題を共有して、みんなレベルアップして患者さんを迎えたいです。
小倉 誰に対して何をやるのかというと、患者さんの困っていることに何をしてあげられるかというのが基本。そこをぶれずに、大学病院の文化として根付いていくことが必要ですね。
より良い患者サービスにつなげる橋渡し
小倉 医療支援課は、患者さんにとって分かりやすいセンターは、入院センター、がんセンター、医療連携センターなどがあります。まさに扇の要として、さまざまな患者サービスを提供する事務的な取りまとめをしてくれています。また、医療安全など見えないところでは、スイーパーとして守っていると認識しています。
服部 扇の広がったところにクラークなどがいて、要の部分は事務職員がいる感じですね。特定機能病院としての業務、拠点病院事業、県職員や医師会との連携もありますので、要といってもらえるとうれしいです。
小倉 共通のキーワードは最高の患者サービスを提供する。だから支援する。医療支援は、ドクターを支援するクラークなどの仕事が増えてきたけれど、本来的には患者を支援する職種だからね。
服部 扇の要の部分は、カチカチに固まってしまうと広がらないし、大きい内輪になればなると、それだけ広がりがある分、要が太くて丈夫でないともたないし。土台がしっかりしていかないといけないと感じます。
安藤 私たちがやっていることは、病診連携で予約を取るなど事務的な業務で、患者さんに直接お返しできるサービスとしてはほんの少しですが、私たちがいることで、患者さんにとってより良いサービスにつながるように、メディカルスタッフである先生や看護師さんの方々につないでいます。
小倉 これから10年先、20年先、岐阜大学病院がもっと花開くはずですので、花を咲くのを見届けていただきたい。その時まで要として頑張ってください。
【過去の様子】