新型コロナウイルスパンデミック期におけるがん薬物療法に関する治療指針
(血液腫瘍を除く)について(4月24日修正版)

お知らせ
新型コロナウイルスパンデミック期におけるがん薬物療法に関する治療指針(血液腫瘍を除く)   

                                                 2020年4月20日

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が国内外で拡がっており、がん患者における重症化リスクが一般に比較して高い可能性が指摘され始めています。
 このような事態に際し、当院におけるがん薬物療法を必要とする固形癌患者における新型コロナウイルス感染リスク低減を目的とした指針を作成いたしました。

 ①がん薬物療法およびCOVID-19に関した個々人におけるリスク・ベネフィットを勘案した上で治療決定を行う
 ・非治癒目的で特に短期予後が予想される場合(予後不良疾患や後次治療中患者etc)やCOVID-19重症化リスクの       高い場合(高齢・併存症etc)のプライオリティを再考する
 ※後次治療:標準治療が残っているが、治療を行っても短期間の予後延長しか見込めない状況

 ②がん薬物療法を行う上でリスク低減を目指した管理を行う
 ・通院頻度を下げる工夫を検討する
   1)インターバルの長いレジメンの選択
   2)維持療法中や補助化学療法中など病勢安定が得られている患者における休薬期間の延長
   3)遠隔処方の有効活用
   4)地域連携を利用した患者対応
 ・病院滞在時間を短くする工夫を検討する
   1)静注薬から経口薬へのスイッチ
   2)必要最低限の各種検査
 ・骨髄抑制を避ける目的で治療強度を下げる工夫を検討
   1)維持療法への移行
   2)殺細胞薬から分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤への移行
   3)同意の上での後次治療の省略
 ・入院治療は個々人の状況を鑑みて、必要と考えられる患者においてのみ実施することを検討

 ③がん薬物療法中の患者におけるアドバンストケアプランニングの推進
 ・COVID-19パンデミック期における現在のがん治療の利点とリスクについて相談
   1)治療状況、疾患の予後、患者の併存症、患者の好み、COVID-19感染リスクについてのインフォームド            コンセントを行う
 ・コロナウイルス感染症を発症した場合やそれが重症化した場合を想定した方針確認
   1)がん薬物療法およびCOVID-19に対する治療方針を提示し相談を行う